米国でキャンプ12年

生きる自信与えたい

「子供たちに生きる自信を取り戻してほしい」。美浜区磯辺の英語講師、大倉延子さん(57)が続けている米国でのサマーキャンプも2001年で13回目を迎える。米国の大自然の中で共同生活を体験させようというこの企画。「キレる子供」「学校崩壊」など子供をめぐる問題は絶えないが、このキャンプに参加した子供たちは、日本では体験できない貴重な体験を重ね、一回り成長して帰国しているという。

大倉さんがこの企画を始めたのは、若い頃に美術を勉強しに米国に行ったことがきっかけ。美しい夕焼けや星空を体験し、「まさにこの大自然が美術学校だ」と感動した。その後、英語講師として子供たちと接する中で「この感動を子供たちにも体験してほしい」と考え、89年からスタートさせた。

プログラムは夏休みの四週間を、カナダとの国境に近いワシントン州オカナガン渓谷で共同生活するというもの。毎年10〜25人ほどが参加している。

大自然の中での生活は、人間同士が助け合わなければ生きられない。このため、子供たちは農作物の収穫、調理、風呂炊き、テントの設置などを生活に関するあらゆる仕事を手分けして行う。「だから、異年齢間でもごく自然に交流できる。」と大倉さん。

子供たちにとって、大自然の中で遊ぶことも貴重な体験の一つ。広大な山林の中でのハイキングや、カヌー下り、乗馬、幌馬車での旅など、数々の遊びを体験する。地元の米国人もキャンプ場に顔を出し、友好を深めている。

大倉さんは「日本の子供たちをみると『ずいぶん狭いところに入れられているなあ』とかわいそうになる。でも大自然を体見した子供たちは、しだいに心が解放され、とても明るい表情を見せる。これを多くの子供たちに体験してほしいですね」と、参加を呼びかけている。

なお、プログラムは7月20日〜8月16日の4週間と7月20日〜8月3日の2週間。

プロジェクトのページ

問い合わせは、プロジェクとの最終ページでどうぞ。

サマーキャンプを企画した大倉さん

自分たちで作った露天風呂につかる参加者ら


川に飛び込む子供たち。

大自然の中での遊びは、子供にとって貴重な体験パーティーで地元の米国人らと歌う子供たち。笑いの声が絶えない

1999年(平成11年)5月2日(日曜日) 千葉日報 千葉市内版


'98年8月21日 朝日新聞の声

大自然に挑む娘のキャンプ

千葉市 臼井ひろみ(小学校教師 48歳)

 先月末の本誌コラム「窓」に、米国でのサマーキャンプの話が載っていた。折しも、そのキャンプに小学四年の娘と参加、四週間をそこで過ごす娘を置いて、私だけ10日間で帰ってきたばかりだったので、共感して読んだ。
 西海岸寄り、カスケード山中での二泊三日のキャンプに同行したが、「大峡谷」さながらの地形の中を、ラバに荷物を積んでの山歩き。上も下も岩だらけ、足もすくむようながけの中腹を。石一つ落とさないように歩く。
 高山植物が満開の山肌と360度を雪の山々に囲まれた大パノラマの中で、大自然の驚異に声もなく立ちすくんでしまう子供たち。
 そして、今なお、雪解け水を運んでくる川の水をくんでのご飯炊き。汚れを決して川の中に入れないよう厳しく注意されながら、それでも日本のキャンプと違って、自由でおおらかに、自分がちでやりたいことを決めていく。
 夜は、手を伸ばせば届きそうな天の川の下で、テントに寝るのはもったいないと、外に寝袋を出して寝る子供たち。さらにビニール袋を各自が持って、大自然の中での排便も経験する。
 娘はこの後、カヌーツーリングや乗馬なども体験して帰ってくる。どんなにたくましくなってくるか、楽しみである。


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