画家「平野京子」冬ソナの印象を描く《エッセイ》

• 小さな胸のなかのひきだし
• てっせんの花
• こどもは自分の知っていることを描く
• おどろきから生まれるものは
• 或る日のねんどあそびから
• 「お前は誰か」フェイゾン・ショウ
• 絵は不思議な科目
• 絵は自分のためにある
  　幼い絵を描く子供ほど有望
• ある日の「山小屋づくり」の日　　
• 「誠実さ」のある絵
• 心うつねんどのおすし

あるとき、それらがひきだしから現れてはたのしい夢のある世界を作り出すことでしょう。

　いつか私の家の庭の垣根に咲いたテッセンの花の紫がとてもキレイでしたのでこれをチェコの

少し大きいこどもたちですが、みんなこの時は素敵な絵をかきました。

とてもせんさいなカットグラスですがよく感じをとらえてかきました。

　紫の花は色をまぜて指先でこすりめのさめるテッセンが生まれました。

そのあとてんらん会の時には、このテッセンの花も何点か並びました。

その時ある男の子のかいたテッセンの絵の前でその男の子のお母さんが私に「うちのこはこれを

　これなどは自分で絵をかいた時の光景と絵が共に自分の胸のひきだしにそっとしまわれたとい

こどもは自分の知っていることを描く

　こどもはしっていることをかくこどもは自分のしっていることをよく絵にかきます。

もが木には大きなねっこがはえているのを知っているからかいているのです。

はりすばらしいと思います。

　そしてその時のこどもは自分も絵のなかの大きな木になった気持ちになっているのです。

おどろきから生まれるものは

は

「ええ一ッ、下手でおどろくの？」

「あっ、おどろいた」

りませんが・・・・何となくは通じるものです。

の配列や形を発見して

「あっ、これはいつもと違うぞ」

「これはすごい」

と自分で自分のそれにおどろくことがあるものです。

たとえば、びんのえのぐを、

いつもは何となく自分の前にある色ばかりとか、

だせいで使っていたけれど、その日は違う色と色を少し重ねてみたらとてもすてきにみえて、

びっくりすることもあるでしょう。

そうしてこの時すかさずそれを「いいわねえ、今日のだれちゃん」と、

ポンと肩をたゝかれたとしたら。

自分ではっとした瞬間に同じ思いを指摘された喜ぴで、

こんどはもっと思いきって色や形のぼうけんをはじめるかもしれません。

それは人に教えられたものでなく、

或る日自分で発見しておどろいたその感動が次の生き生きした絵をかかせるのです。

絵はけっして出来上ったものが問題ではなくてかいているその時その時が大切なわけです。

或る日のねんどあそびから

いきます。

　このどろんこあそび、ねんどあそびがまさにニーディングです。

板の上でねんどに体重をがけて

「ヨイショ」

「マダカタイゾ」

といいながら高く持ちあげてドスーンと落したりすごい音です。

それでもまだ足りずくつしたをぬいでこんどは足でドスンドスンこねています。

お家でも紙の土にかく絵以上にどろんこあそびをやらせましょう。

するとみんなも次々とトントントン、グニャグニャいい気持ちだなあ。

してねんどのふちにのせています。

でも遂に「エイッ」といつの間てがねんどは足の下です。

とびはじめました。

ピョンピョンピョンそのうれしそうな顔だったこと。

　もうここまでで今日の目的は充分です。

ものでした。

（紙ねんどはかたまる性質上あぞぴのあとは何かをかたちづくってかえることになる

のではなくてねんどと一体になっている無心さをいう）いるのでぴっくり。

あとでお迎えのおとうさんから

「あゝ、この間、いなかにいったときにおもちをこねたのですよ。」

と笑っておっしゃられたことばになるほどとたのしくなりました。

で思い思いのものをつくってはこわし、つくってはこわし又つくってかえりました。

り、平几なお皿の上のおだんごであっても、それでよいのです。

も、生き生きしたネ、こさまの表情をきっとみてくださることでしょう。

お、まえはいったいどんなものか一という時期なのである。

　つまり「お前は誰が」という態度で新しい材科を迎えるが

知っでほしい。

フェイゾン・ショウ

絵は不思議な科目

絵は何才だからどういう絵がかけるとかいう規準は一切ありません。

そのこどものことばなのですから。

他の科目とはぜんぜん違う不思議なものが絵とか創造の世界です。

す。

す。

幼児の絵は、えのぐあそびからはじまります。

小さいこどもは自分の手形を紙にうつすのが大好きですね。

手のひらにえのぐをぬりたくりまあたらしい紙をよごす？

そのここちよさは、だれでもけいげんずみです。

ていったの？」と、そっときいている風景がありました。

　絵はこどものほうがおかあさんより、せんせいです。

小さいこどもは絵の具と一体になってたのしむ方法をすでに知っているのです。

一幼い絵をがくこどもぼど有望一

午前クラスのある朝その日もみんな元気一杯に絵をかいてぞれぞれ帰り仕度です。

小さな声。

今迄の元気な顔にはちらりとあせりが・・・・

力一ぱい何の制約もなしに発散（エネルギーの放出）できるこどものひろばです。

きものなのです。

　絵は幼いほどよいのです。

形などぜんぜんなくてもよいのです。

気にするでしょうか？

なくてただの色だけの絵だってあるはずです。

らのかかれたものは誰のめをもひきつけるのです。

容が人の目をひきつけるのです。

いもの）があるのはいうまでもありません。

からでも前期に戻してあげるべきです。

きです。

ますが絵だってこれなしではのびのび絵はとうていかいていくことができません。

とすればそのこどもは発展性が少ないこどもになってしまいます。

です。

絵」を指示したり期待をしていたらそれは間違いです。

ぱない）人になってしまいます。

そればかりでなく課題画の場合にものびのびした絵はかけません。

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56年1月

ある日の「山小屋づくり」の日

小さなツミ木で山の家づくりです。

い位の室温で「上着をぬぎましょう」とのかけ声に、一杯着ている人はぬぎました。

く）いつものように作る前にガチャガチャつみき風にあぞぶのです。

間をたのしんであそべるこどももいる。

大器？

ると時々助言する私。

何となく各自のイメージが出来てきて、ボンドも必要になってくる。

途中で何度でもイメージ・チェンジして「これでいこう」という女の子は4年生。

るさ」。

ちゃんとかきこんでいる。

に・・・きっと連休の前日とてゆっくりみたのでしょうとほゝえましくなる。

のね」と、かっこうつきで笑わせる男のこ。

の・・・」絵が好きなこどもはみんな動物好き。

面をしきりにはなしていた。

　山小屋はこの次つづきがたのしみです。

56年2月

「誠実さ」のある絵

　アトリエの午前クラスでは、小さいこどもたちは全身で大きな紙に向って絵をかきます。

いとしるとこんどは全身で絵を、かたちを、かきます。

ずです。

そして思い思いの絵が出来上っていきます。

かく部屋は同じ、時間も同じですが、かく絵は一人として同じ状態ということがありません。

大入がらみるとあ、いゝなあと思った瞬間、こどもはその上をぐちやぐちやに消してハイネ卜わ

りということも。

　ごく小さいこどもは、どごまでが絵の時間でどこがらが遊ぴなどと区別がないのです。

全体があぞびでよいのです。

心配はありません。そのうちにかくたのしさが湧いてくるからです。

ていていい絵など、ぞれぞれにたのしいです。

たゞ、こどもだってどうしても気ののらない日だってあるのです。

無理じいは禁もつ、次回をたのしく待ちましょう。

ほんとうに絵は一枚きりでみるものでなく長いつながりでみるとたのしくなります。

例があります。

ある時期に少し乱暴な絵をがくようにみえても次第におちついて行き心配ありません。

れません。

うことです。

合等は余白は多くてもそれはたのしい絵といえますね。

　一枚のすこしの（ことば）が次の沢山の絵（ことば）の広がりのもとにこなっていくのです。

心うつねんどのおすし

を思い起されることでしょう。

あのなかに今でも思い出す、ほのぼのとしたねんどがありました。

コ顔になる場面に私はいくたびも出会いました。

く叫んだ教室のごどもがいました。

まさに全くそのとおりなのですね。

「こんなものつくっていいの？」とおかあさんに言っている声がしました。

じました。

よ」と私は言いました。

ものでした。

にしまっておきました。

折りに入れ並べたものです。

う。

なったのだと思います。

れて、みる人に好きとかきらいとが好ましいとがを感じさせるのですね。

こういうことは大人の世界もこどもの世界も全く同じですね。

かったです。

55年8月